現役メーカー人事のハルダ(@haru_dadd)です。
私はとあるメーカーで中途採用担当として、これまで100名近く採用を行ってきました。
さて、皆さんは転職するならブラック企業は避けたいと思ってネットや友人などから「あの会社はホワイト企業」「あの業界はまったり」などといった情報を探しますよね。
ですが、それはあくまでマクロの視点で言えるだけのことです。
どんなにホワイトと言われていても、部署を個別に見ていくと、ブラック企業のような職場(ブラック職場)があるんです。
特に大手有名企業ほどホワイトと言われやすい分、ブラック職場が見えにくくなっています。
ブラック企業から抜け出すことを目的として転職活動をしている人は、ブラック職場に要注意です。
そんな職場に転職してしまったら、苦労して掴んだ内定が水の泡ですよね。
もし配属されてしまった場合、なまじホワイト企業と言われているだけに、本当は辛いのに周囲から「せっかく転職したのにもったいない」なんて声もあって再転職しにくくなります。
結果、追い詰められてメンタル不調になる可能性も…。
この記事では、そんな状況に陥らないために、ブラック職場に転職しないための方法を紹介します。
Contents
ブラック職場を見抜く方法
中途採用の場合には、ある程度見抜くことができるんです。
それは、選考中や内定後に配属先について情報収集できるチャンスがあるからです。
以下、ブラック職場を見抜く方法を紹介していきます。
ブラック職場になりやすい職場がある
ブラック職場を見抜く方法の前に、まず押さえておくべき前提があります。
それは「どうしてもブラック職場化しやすい事業や部署がある」ということです。
下請や客先に近い部署ほどブラックになりがち
どうしてもブラック化しやすい職場とは、下請や客先に近い部署です。
例えば工程が遅れると、そのシワ寄せは下請や客先に近い下流工程にいきます。
そうなると、客先の前面に立つ人たちは納期に間に合うように長時間残業などを強いられるわけです。
また、カスタマーサポートなど客先に近い部署や会社では24時間体制や休日も呼び出されたりする可能性があったり、客先からのクレーム対応で精神的に辛いことも多くなるでしょう。
このように、構造的にどうしてもブラックになりやすい職場があります。
ですから、できるだけ元請・発注側・上流工程を担う職場を選ぶことでブラック職場を避けやすくなります。
ただ、カスタマーサポートの体制がしっかり整っている会社であれば、むしろ客先へのアフターサービスが利益の源泉になっている場合もあるので一概に全てがブラックとは言えません。
そこは選考を受ける会社のビジネスモデルを聞いてみましょう。
ブラック職場を見抜くために確認すべきこと
ブラック職場を見抜くためには、選考中や入社前に確認すべきことがあります。
具体的には下記の通り。
- 時間外労働や36協定の有無
- 離職率と定着率
- アルムナイの有無
- 面接官が「今まで自社で働き続けることができた理由」
では、それぞれ説明していきます。
時間外労働や36協定の有無を確認する
単純に残業や休日出勤が多いと身体的に辛いのですが、忙し過ぎる職場はストレスフルなので人間関係が悪くブラック化しやすいです。
まずは、時間外労働が労使協定に従って命じられているか、36協定の有無や内容を確認してください。
労働基準法で労働時間は「1日8時間・週40時間」と決められていますが、それを超えて労働させる場合には労働基準法36条に基づく労使協定(会社と労働者との決め事)の締結が必要です。
つまり「そもそも会社が従業員に残業や休日出勤を命じるための決め事(時間外労働の上限など)があるかどうか」を確認するということです。
36協定がない状態で残業させているならコンプライアンス違反なので間違いなくブラックです。
その上で、時間外労働(残業や休日出勤)の平均を確認しましょう。
ポイントは「その部署の」平均時間を確認することです。
理由は、会社全体の平均を確認してしまうと残業の少ない部署も含まれてしまい、正しい平均時間を把握できない可能性があるからです。
さらに、その部署の人の直近1年間で時間外労働が最も多かった月の時間と、そのような月が年間で何ヶ月あるのか、またその理由を確認してください。
なお、時間外労働については選考に合格した後で確認しましょう。
なぜなら確かに重要なことですが、本質ではないので面接で聞きすぎると評価が下がる可能性がありますし、「採用したい」と思わせてから確認した方が情報を引き出しやすいからです。
離職率と定着率を推測する
離職率と定着率を推測するために、下記のポイントを確認しましょう。
- 部署の人数
- 過去3年の離職者(退職時の在籍年数)
- 部署の年齢構成
- 中途採用予定人数
- 中途採用の募集期間
部署の人数に対する退職者数が分かれば離職率は分かりますが、それだけでは不十分です。
定年なども含め、たまたま退職者が多いこともありますので、退職時の在籍年数を聞くことですぐ辞めてしまう職場かどうか分かります。
また年齢構成を確認すると、若手ばかりの職場なら体力的にキツイのかもしれせんし、ベテランばかりなら職場の将来性に疑問を感じます。
そして中途採用予定人数と募集期間を確認するのも有益です。
大量採用していたり、採用人数が決まっていない状態で長期間募集をかけている職場は離職しやすいブラック職場の可能性があります。
ちなみに、上記のことは面接でいきなり聞いても面接官が準備していなければ正確な情報が得られませんので、応募する前に確認しておきましょう。
こういった組織に関する情報は、信頼関係がないと個人的に聞くことはほぼ不可能です。
ただし転職エージェントと企業は秘密保持契約も含めて信頼関係がありますので、エージェントに依頼することで確認することができます。
転職エージェントを利用するメリットは求人紹介や面接対策と思われがちですが、このような情報収集ができることに最も価値があります。
特にリクルートエージェントとJACリクルートメントは良く企業に足を運び、情報収集しているエージェントです。実際、私自身も中途採用担当として直接エージェントの方とお話しさせていただくことが多いです。
アルムナイの有無を確認する
最近、中途採用界隈でよく聞かれるのが「アルムナイ」という言葉です。
人材コンサルタントの松本利明氏は、良い会社には「アルムナイ」があると言います。
アルムナイ
英語で卒業生や同窓生を意味する言葉で、転職が一般化した近年では企業の離職者やOB・OGの集まりのことを言います。
アルムナイはその企業が主催して現役社員も含め集うネットワークなのですが、その会社のことを悪く思っている離職者が多ければアルムナイはできません。
ということは、アルムナイがあるのは良い会社である証拠です。
アクセンチュアでは「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」と銘打って、アクセンチュアに再入社したいという「卒業生」を積極的に採用しています。
ここまで大々的にしていなくても、退職者と繋がりがあるという程度で十分良い会社だということは分かると思います。
なぜなら、ブラック企業に勤めていて逃げるように辞めたのであればそこでできた繋がりは断ち切りたいと思うはずだからです。
アルムナイがあるかどうかは、面接官に聞いてみると良いでしょう。
ちなみに、アルムナイについても詳しいことは松本利明氏の「『いつでも転職できる』を武器にする」に書かれています。
「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方
面接官に「今まで自社で働き続けることができた理由」を聞く。
最後に、面接官に聞くべきこととして「今まで自社で働き続けることができた理由」を聞いてみましょう。
面接官はマネージャークラスが多いのですが、これまで様々な苦労をしながら今まで働いてきたはずです。
仕事で辛いことがあるのは当然ですが、それでも辞めずにやってこれたということはそれなりのポジティブな理由があるはずです。
また、面接官の価値観を知ることもできます。
例えば「辛いことだらけだけど、自分を成長させてくれるから」という面接官がいたらあなたはどう思うでしょうか?
一緒に働きたいと思えるなら入社すべきですし、逆にこの時点で価値観が合わないと思ったらやめておくべきです。
繰り返しますが、面接官は募集部門のリーダーであることが多く、リーダーと価値観が合うかどうかは重要ですから直接面接官に聞いてみることをオススメします。
労働条件説明を活用せよ
上記でも少し触れましたが、企業から最も情報を引き出しやすいのは労働条件説明を受ける時です。
労働条件説明は、給料などの処遇や働き方、配属部門での業務内容など企業選びに際して必要な情報を確認する重要な機会です。
ブラック職場を避けるためには、選考合格後に労働条件説明を面着で実施する企業に絞り込むべきです。
以下、詳しく説明します。
労働条件説明のメリット
最近でこそ転職希望者が企業を選ぶ状態ですが、まだまだ選考の中では企業の方が強い立場。
面接中に質問することはできますが、合格することが最優先なので、「この質問したらどう思われるか」ということを気にしてなかなか突っ込んだ質問ができないのが正直なところですよね。
しかし合格後であれば、企業としては採用したいと思っているわけなので、対等な立場で質問することができます。
採用選考を受けていること以外、全くの無関係にも関わらず、募集部門のリーダーや人事担当から直接話を聞ける機会はありませんので、この機会をフル活用しましょう。
労働条件説明は面着で
労働条件は直接会って説明を聞くのがベストです。
なぜなら、直接話した方が気になることや細かいことまですぐに聞くことができるからです。
毎日の多くの時間を過ごす職場のことですから、少しでも気になる点があれば確認して気持ちの面でもスッキリした方が働くモチベーションも上がります。
また、労働条件は書面での説明も認められてはいるのですが、文字にできる定量的な最低限のことしか書かれていないため、できるだけ面談を希望しましょう。
どうしても面談が難しいのであれば、少なくとも電話による面談を依頼しましょう。
電話の場合は、予め書面による労働条件説明(通知書と呼ぶことが多い)を読んでから、電話で質疑応答を行うケースが多いです。
条件説明が書面のみで、面談や電話での説明を依頼しても全く取り合ってもらえない場合は要注意です。
最低限、電話でもメールでも良いので質問に対して誠実に答えてくれるかどうか確認しましょう。
直接会って労働条件を説明するのは、企業としての自信の表れでもありますので、企業選びの一つの参考としてみてください。
直接会って条件説明を受けるための依頼方法
直接会って条件説明を受けるためには、転職エージェントに依頼してもらうと可能性は高まります。
エージェントとしてもあなたが入社したら報酬が得られますので企業の採用担当者を説得してくれるはずです。
さらに、面接で評価されていれば、対応してもらえる可能性は高くなります。
なぜなら、評価が高くなればなるほど企業があなたを選ぶのではなく、あなたが企業を選ぶ立場になるからです。企業としては選んでもらうための努力として、直接会って労働条件を説明する必要が出てくるというわけです。
面接での評価を高めるには、マッチしていること
自分にマッチする求人を探すなら、転職エージェントに依頼する方法とマッチングサービスを利用する方法があります。
転職エージェントを利用する転職活動の方法は、次の記事で紹介しています。
また、マッチングサービスについては次の記事で紹介しています。
効率的な転職活動をするなら転職エージェントとマッチングサービスを併用しましょう。
手順としては、マッチングサービスで自分とマッチする求人をマークしておき、転職エージェントとの面談でマッチングサービスの結果を伝えつつ、どんな求人に応募するか相談してください。
そうすることで、エージェントとしても応募者がどんな求人にマッチするのか、最初に当たりをつけやすくなります。
ちなみに、マッチングサービスは転職エージェントと連動しています。(例:ミイダス→doda)
ですが、マッチングサービスで分かったことは他のエージェントと相談する際にも活用しても問題ありませんので、まずは試してみることをオススメします。