入社後の研修を終え、いざ配属発表。
そこで命じられたのが関係会社への出向。
まさか入社と同時に出向なんて思っていなかったでしょうから、相当ショックですよね。
ですが、出向というのは悪いことばかりではありません。
確かに、入社したいと思っていた会社ではない会社で働かなければならないというのはネガティブな気持ちになるのは当然でしょう。
ただ、小説やドラマの影響で出向そのものに悪いイメージがついてしまっており、必要以上に落ち込んでいる新入社員が多いと思います。
そこでこの記事では、出向は悪いことばかりじゃないしメリットもあるということ、そして、さすがに転職した方が良いケースについて、現役人事がお伝えします。
Contents
入社と同時に出向させるのは違法?
結論からお伝えすると、新入社員を入社と同時に出向させるのは違法ではありません。
厚生労働省の「在籍型出向”基本がわかる” ハンドブック」で出向を命じることについて以下の記載があります。
出向を命じるには、労働者の「個別的な同意を得る」か、 または「出向先での賃金・労働条件、出向の期間、復帰の仕方などが 就業規則や労働協約等によって労働者の利益に配慮して整備されている」必要があるとされています。
(引用元:厚生労働省「在籍型出向”基本がわかる”ハンドブック)
ですから、もし出向に納得がいかない場合、次のことを確認してみましょう。
- 出向することの可否について会社から確認があったかどうか
- 出向しても損しないことが就業規則などで示されているか
就業規則・労働協約・労働条件通知書などを見ればわかると思いますが、もし該当するものが見当たらない場合には人事に直接聞いてみると良いかもしれません。
ただぶっちゃけると、こういったことを聞いてくる新入社員は人事から、ある意味クレーマーのように捉えられ一時的にネガティブな印象を持たれる可能性があります。
ですから、自分がなぜ確認したいのか論理的に説明して教えてもらうようにしましょう。
そうすれば人事も誠実に対応してくれるはずです。
もしそうでなければ会社として何かやましい事情があるのかもしれません。
また、労働契約法第14条では、権利を濫用した場合には出向命令は無効になると定められています。
ちなみに出向命令が無効となった裁判例は以下の通りです。
「一貫してデスクワークの仕事をしてきた労働者について、希望退職募集への応募の勧奨を断った段階で、子会社に出向させて単純作業に従事させた場合は、当該出向は、退職勧奨を断った労働者が自主退職することを期待して行われたものであり、業務上の必要性がなく、また、人選の合理性も認めることもできず、権利の濫用に当たり無効となる場合がある」とする裁判例があります。 (東京地裁 平成25年11月12日判決)
(引用元:厚生労働省「在籍型出向”基本がわかる”ハンドブック)
今までデスクワークの仕事をしてきた人を、希望退職を断った段階で出向させて単純労働をさせるのは、「自主退職を狙ったもの」という裁判例ですが、このように思われても仕方ありませんね。
新入社員をいきなり出向させる意味とは?
出向と聞くと「左遷」のように捉える方もいると思いますが、実際はそれだけではありません。
新入社員が入社後いきなり出向させられる意味としては以下の理由が考えられます。
育成のため
本体より規模の小さなグループ会社に出向することで幅広い経験をさせてから復帰させるという育成手段をとる企業もあります。
若いうちから出向先でリーダーシップをとる仕事をしたり、ビジネスの最前線に立ち現場を知ることができたり、学べることは非常に多いと思われます。
雇用調整のため
景気が悪いなど自社での雇用がどうしても難しい場合に出向となる可能性があります。
ですが、ただの雇用調整なら新入社員ではなく評価の低い社員を出向させれば良いはずなので、新入社員が出向させられるということは、それだけ会社が危機に瀕しているか、人材育成も兼ねた一時的な出向と考えられます。
組織の構造上の都合
出向先がビジネス上の都合で別会社になっているだけで、実態は本体の一部署と同じ扱いになっている会社もあります。
この場合には、もちろん処遇は出向前と同じで、給与・ボーナス、昇進などは本体の社員のものと同様になります。
若手が出向するメリットは?
実は出向は単に関係会社で働くというだけではなく、出向ならではのメリットがあります。
ここでは、若手のうちに出向することのメリットについてお伝えします。
早期に成長できる
既にお伝えした通り、出向先では様々な仕事を経験することができる可能性があります。
そのため、ハードかもしれませんが広範な知識や多くの経験ができるでしょう。
また、出向先であれば管理部門などの経営に近い職場に配属される可能性も高くなるため、一段上の視座を身につけることもできます。
また、そもそも最初に期待されていて、コイツなら外に出しても問題ないと評価されているからこそ入社と同時に出向を命じられている可能性もあります。
ただ、狭く深く専門的な仕事がしたいという場合には、もしかすると会社の期待とは異なるのかもしれませんから、本体で専門的な仕事を経験することを希望する方が良いかもしれません。
出向先の方が働きやすい場合もある
私が見てきた出向先の中には、本体よりも雰囲気がいいなぁと思った会社もいくつかあります。
本体から委託される業務の性質上、利益率が高かったり、本体のように上層からいろんな仕事が落ちてこなくて意外とまったり、人間関係が良いこともあります。
私の先輩なんか「最後はあの会社に出向して部長待遇でのんびり退職まで仕事がしたい」というくらいです。
これは仕事観にもよるところですが、中には出向先の方が肌に合う人もいるということです。
いきなり出向させられて転職した方が良いケースは?
出向に納得いかないし転職した方が良いかもしれないと思う方もいるでしょう。
そんな方は、既にお伝えしたメリットもあるかもしれませんので、まずは出向先で実際に働いてみた上で考えることをおすすめします。
ただし、次のような場合には転職を考えた方が良いと思われます。
- 納得いく理由を誰も説明してくれない
- 出向者がずっと本体に戻っていない(ただし本人希望の場合もある)
- 出向先で成長実感のある仕事がない
悩んだらまず先輩に相談
出向先で働いてみてもどうしても悩む場合には、同じ出向者の先輩がいたら相談してみましょう。
長く働いている先輩ほど出向の良さを感じているかもしれないし、逆にずーっと本体に戻るのを待っていて、早めに転職した方が良いというアドバイスをくれるかもしれません。
出向のことはまず出向している人に聞け、ということです。
多くの出向者の先輩にあたって、できるだけ広い視野で考えてみることをおすすめします。
どうしても出向が嫌なら専門家に相談
どうしても出向が嫌で転職しようか悩んでいるのであれば、専門家に相談して一度自分のキャリアを見直してみてください。
新入社員でも、しっかり考えた上で転職するならそれは有意義なものになるでしょう。
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