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面接官に好印象を与える転職理由の伝え方【採用担当が教えます】

「転職理由を教えてください。」

私は企業の採用担当として働いていますが、中途採用面接でこの質問をしても思ったより明確な答えが返ってこないことが多いです。

転職理由は書類選考や面接において好印象を与えるための重要なポイントです。

日本国内で大企業に転職して、腰を据えて長く、できれば定年まで働きたい。

特にそんな方には意識していただきたいと思いますので、この記事ではその理由と具体的にどう答えれば面接官の評価が上がるのか説明します。

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面接官が転職理由を聞く理由は?

日本における多くの大企業には終身雇用の考えが残っています。

もしかすると、悪しき伝統と捉える方がいるかもしれませんが、これは単なる伝統ではなく理由があるのです。

それは、人材育成の観点で「投資」と「回収」をしなければならないからです。

まずは、皆さんのイメージで良いので、パッと思いつく大企業を思い浮かべてみてください。

おそらくそれらの企業は、歴史が長く、様々な製品を、様々な場所で扱っていて、多様な職種がある(多くの仕事を分業している)のではないでしょうか。

では、これらのビジネスを継続していくためにはどんな人を育成する必要があるでしょうか。

極端ですが、最終的に社長になるとすれば、自社が扱う様々な製品やビジネスを知り、そのビジネスをどのように回しているのか理解している人でなければなりませんよね。

何か一つの製品や業務を専門的に分かっているだけではだめで、総合的に分かっている必要があります。いわゆる「総合職」という人たちのことです。

一般的に総合職といえば将来の幹部候補を指しており、たとえ社長にまでならなくとも総合職で入社すれば部長や課長など、将来的には部門を統括するような役割を期待されます。

そのためには様々な経験を重ね幅広い知見をもつ人材を育てる必要がありますが、このような人材を育てるには、長い時間をかけて指導や研修といった「投資」をしなければなりません。

このように、育成には時間がかかるし(投資)、育てた人材には出来るだけ長く活躍してほしい(回収)ということで、企業としては採用した人材には定年まで働いてほしいのです。

転職理由の「キャリアアップ」は悪印象?

こういった背景を踏まえて企業の視点に立つと、履歴書や面接でよく聞く「キャリアアップのため」とか「新しいフィールドでさらに成長したいため」といった転職理由は逆効果であることが分かります。

採用する側としては「優秀でやる気もあるようだけど、キャリアアップしたらまた別の会社に行ってしまうのではないか」といった不安がよぎるからです。

ただし、この回答はバツ。というわけではありません。

本当にキャリアアップが転職理由だとしたらどうすれば良いのかについても後で紹介します。

志望理由はあまり面接官の評価に影響しない?

ちなみに、よく転職理由とセットで聞かれるのが志望理由ですが、こちらはあまり評価に影響しません。

転職市場が売り手市場の現在、企業としては、応募者が複数社の選考を受けているのは当たり前と考えているためです。

「どうせ他も受けているんだろ」というひがみではなく、リスクをとって転職活動をしているのだから複数社の選考を受けるのは当然のことと理解しているのです。そのため、自社の志望理由を聞いてもそれほど意味がないと考えています。

それに長期的に働く意志があるかは志望理由を聞いても分かりません。

聞かれるとすれば、次のような質問です。

  • どんな業界を受けているか
  • 自社の応募に行き着いたプロセス

これを聞くと、応募者が転職に対してどんな志向を持っているか、何となく知ることができます。

例えば「特定の技術を活かしたい」「現職(前職)と同業界で働きたい」「高い給料がほしい」「業績が安定した会社に入りたい」などなど・・・

面接官としては、転職に対する志向性から長く働いてくれるかどうかを判断しているというわけです。

面接官に好印象を与える転職理由の答え方

では書類選考や面接対策として、どんな転職理由であれば面接官の評価を高めることができるでしょうか。

面接官が好印象を持つ理由と逆効果な理由

まず、面接官が好印象を持つ理由は下記の通り。

  • 会社の業績不振
  • あまりに酷い労働環境(労基法に触れる等)
  • やむを得ないUターン・Iターン

このような理由を一言で伝えられるようにしておきましょう。まず一言でバシッと答えたあと、その背景などを詳細に説明すると伝わりやすいです。

ちなみに逆効果な理由は下記の通り。

  • キャリアアップのため
  • 現職が向いてないから

逆効果な理由の1つにキャリアアップを挙げましたが、本当にキャリアアップが転職の理由だとしたらどうすれば良いか。嘘をつかずに答える方法があります。

この場合、正直に「キャリアアップです」答えた上で、自分が前職で得たスキル・経験とさらに入社後キャリアアップすることで応募先の長期的なビジョンのために、どう役に立てるか答えるのがオススメです。

これを回答するには会社のことをある程度調べなければなりませんし、将来のためを考えていることを示すことで長期的に働く意志を伝える効果があります。

転職理由を正直に答えた方が良い理由

面接後に採用検討の会議が行われますが、転職理由を気にする面接官は多いです。

プライベートな理由で転職する場合、なかなか話しにくいこともあると思いますが、採用側はそれを考慮した上で採用を検討します。例えば介護でUターンしたいといったことです。

これを隠して入社できたとしても、その理由が原因で勤務に影響するかもしれません。

だから面接の時点で正直に伝えておいた方が双方にとってハッピーな転職になります。

配慮してくれない会社に入って後々困るのは自分です。

それよりも「勤務に影響するような事情があっても、あなたの経験・技術には価値があるから配慮する」と言われて入社した方がモチベーションも上がりますよね。

転職回数が多くてもチャンスはある

基本的には3〜4社経験していると、それだけでネガティブな印象をもたれます。

「ジョブホッパー」か「飽き性」とみられるため、足切りの対象とされることさえあります。

しかし、複数転職を重ねてきた場合であっても、それぞれの明確な転職理由を説明できれば経験社数だけで落ちることはありません。

1社1社、しっかりと説明しましょう。

転職エージェントを利用している場合の転職理由に関する注意点

実は、転職理由は事前に転職エージェントから企業に伝わります。

転職エージェントを利用している場合、最初にエージェントと面談(遠方なら電話)します。

この時点で聞かれて答えた転職理由がそのまま伝わる可能性もありますのでエージェントに登録する前にしっかり考えておきましょう。

これから転職エージェントに登録している方、追加で登録しようとしている方は以下の記事で信頼できるエージェントをチェックする方法を紹介していますのでどうぞご覧ください。

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