新入社員の皆さんの中には「失敗したらクビ(つまり解雇)になるかもしれない」と不安を感じながら仕事をしている方もいるのではないでしょうか?
ですが、心配はいりません。
なぜなら日本ではクビ、つまり解雇するためのハードルが高いからです。
また、同じ「会社を去る」ということであっても、クビ(解雇)と退職を混同している人もいますし、「解雇」にも複数種類があるのです。
この記事では、クビ(解雇)について正しい知識を持つことで、新入社員がクビにならないために本当に気をつけるべきことは何かということを現役人事がお伝えします。
Contents
クビ(解雇)とは?
まずはじめにクビ(解雇)について正しく知ってもらうために、解雇と退職の違い、そして解雇の種類について説明します。
クビ(解雇)と退職の違い
解雇も退職も、結果的に会社を辞めること(労働契約の終了)に変わりはありませんが、その意味は全く違います。
まず「クビ(解雇)」は何らかの理由で会社が一方的な意思表示で労働契約を解除することです。
「あなたには辞めてもらいます、以上」
というのが解雇ですね。
一方、退職は解雇以外の労働契約の終了のことです。
退職には大きく「定年退職」と「自己都合退職」の2つがあります。
定年退職は、会社のルールに基づいて決められた年齢がきたら退職するものです。
また、自己都合退職は、労働者の都合で退職することで、定年退職以外はほとんど自己都合退職になると思って問題ありません。(在職中に亡くなった場合は自己都合退職ではない)
クビ(解雇)にも種類がある
では次にクビ、つまり解雇についてみていきましょう。
解雇には大きく次の3種類があります。
- 整理解雇
- 普通解雇
- 懲戒解雇
整理解雇
経営状況の悪化など、経営上どうしても必要がある場合にのみ行われる解雇です。
世間ではよく「リストラ」と呼ばれるものです。
ただし、この整理解雇は人を辞めさせること自体が目的ではなく、人件費削減により企業を存続させることが目的なので、本当に整理解雇が最善策なのか?ということを会社が説明し、従業員の納得を得なければなりません。
法律上でも高いハードルが設けられており、最後の手段なのでなかなか実行されることはありません。
普通解雇
勤務不良や身体上・精神上の理由で業務ができないなど、業務不履行を理由として解雇することです。
ただし、仕事をしない・できないからといって即解雇できるわけではありません。
まず、就業規則に「こんな時は解雇しますよ」という記載がなければ解雇できません。
そして、あくまでも解雇は最終手段なので、業務を履行するための十分な教育・指導を行ってもどうにも改善されない、また本人も努力する気持ちがないという場合にのみ解雇できます。
ですから普通解雇という名前ではありますが、よほどのことがなければ実行されることはありません。
懲戒解雇
会社のルールを守らなかったり(就業規則違反)、わざと会社に迷惑をかける行為をするといった際に会社は労働者を罰することを懲戒といいます。
この懲戒には段階があり、最も重い罰が懲戒解雇となります。
日本の刑罰で最も重いのは死刑ですが、会社の罰則で最も重いのは会社から去らねばならない解雇というわけです。
こちらも労働者の生活がかかっているのでハードルが高く、軽い懲戒から順番に実行していって反省を促すので解雇に至ることはほとんどありません。
クビ(解雇)は滅多に行われない
このように、解雇というのは珍しいことなんですね。
外資系はもう少し普通解雇が多いのかもしれませんが、日本企業では企業内労働組合があったりして労働者が守られているので、少なくとも即時解雇というのは滅多にないケースです。
新入社員が失敗ばかりしたらクビ(解雇)になる?
では、新入社員が仕事で失敗した場合に解雇されることはあるのでしょうか。
以下、説明していきます。
クビ(解雇)になるケース
まず、新入社員は他の社員より解雇されやすいかというとそんなことはありません。
もしかすると中堅・ベテラン社員の方が会社への貢献度は高いので解雇されにくいのかもしれませんが、新入社員は今後の経営を担うために必要な人材なので簡単に若い芽を摘むことはしないはずです。
では解雇されるとしたらどんなケースでしょうか?
今後の可能性がある新入社員を解雇するのは経営上の必要性と反するので、よほど見込みがないと思われていなければ整理解雇の対象になることは考えにくいです。
また、普通解雇するにも十分な指導・教育が必要ですし、曖昧な理由で解雇したら、従業員から裁判を起こされた場合に会社は負けてしまうので解雇に踏み切ることは考えにくいです。
あるとすれば「退職勧奨」が考えられます。
これは会社の一方的な意思表示ではなく、「退職したらどうか?」と会社が提案してきて、最終的には労働者の意思で自己都合退職となることです。
あとは、明らかにわざと就業規則違反をし、繰り返す場合は、会社としても懲戒処分を下しやすいので解雇される可能性は高くなります。
クビ(解雇)になるとどうなる?
なかなか実行しにくい「解雇」ですが、解雇されるとどうなってしまうのでしょうか?
当然会社を辞めなければなりませんが、自己都合退職と違い大きなデメリットが3つあります。
退職金が支給されないか減額される
懲戒解雇の場合、就業規則で定められていれば退職金が支給されないか良くても減額される可能性があります。
整理解雇のような会社都合の場合には当然退職金は支給されますが、会社に迷惑をかけて辞めさせられる懲戒解雇で退職金が支給されるはずがないですよね。
転職に不利
普通解雇・懲戒解雇されたということは、問題があるということですから、積極的に採用しようと思う企業は少ないでしょう。
どうやって解雇されたことがわかるの?と思うかもしれませんが、前職を解雇されたとしても、それを面接などで申告する義務はありませんので言わなければわかりません。
ただしもし何らかの情報伝達によって解雇されたことを隠していたことがバレた場合、経歴詐称で転職先でも懲戒処分を受ける可能性があります。
失業保険の受給に影響する
会社が懲戒解雇した場合に「重責解雇」としてハローワークに届け出ることがあります。
その場合、失業保険は支給されますが、失業保険支給までの期間が長くなったり、失業保険支給期間が短くなったりします。
新入社員は失敗しただけでクビにはならない?まとめ
この記事では、新入社員が失敗してもクビ(解雇)になることは滅多にないということをお伝えしました。
ですが、この記事をお読みになった方の職場では、いつクビになるかわからないと不安になるような上司の言動などがあるのかもしれません。
もしそうだとすれば、失敗を認めない風潮の職場ではチャレンジが生まれないので成長が見込めません。
ですから将来を考えて本当にここにいて良いのか考えるために、キャリアの専門家に相談するのも一つです。
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