新入社員が辞める割合として、よく言われるのが3年で3割という数字です。
10人同期がいたら3年後には3〜4人辞めているという計算ですが、実際のところは調査データを見なければわかりません。
この記事では、いくつかの信頼できる機関の調査データから、仕事を辞めたい新入社員の割合やその理由についてまとめました。
Contents
辞めたいと思う新入社員の割合は?
まずは、2つの調査から辞めたいと思う新入社員の割合について見てみましょう。
就職みらい研究所による調査
リクルート社の研究機関である就職みらい研究所が「2020年新入社員の就業実態【就業状況編】」という調査結果を公開しています。
(出典:就職みらい研究所 2020年新入社員の就業実態【就業状況編】)
この調査では頻度に差はありますが、74.3%が「現在の勤務先を辞めたいと思うことがある」というデータが示されています。
厚生労働省による調査
次のデータは「厚生労働省 新規学卒者の離職状況」です。
辞めたいと思う割合ではなく既に辞めた人の割合ですが、新入社員が辞めたいと思う割合がどれくらいなのかのヒントになると思います。
データは昭和62年(もう30年以上前ですね!)から掲載されており、その年の入社3年以内の離職率と1〜3年目それぞれの割合の内訳わかります。
(出典:厚生労働省 新規学卒者の離職状況)
大学卒では最低23.7%、最高36.6%です。
ここ10年くらいは31〜32%を推移していますので、3年で3割というのは正しいようです。
2つの調査を見ると、同期が10人いるとしたら7人は辞めたいと思うことがあって、そのうち半分が転職していく。単純に考えるとそんなイメージですね。
新入社員が辞めたいと思う理由の割合
新入社員が辞めたいと思う理由についても2つの調査から調べてみました。
就職みらい研究所による調査
前掲の就職みらい研究所「2020年新入社員の就業実態【就業状況編】」を見てみましょう。
(出典:就職みらい研究所 2020年新入社員の就業実態【就業状況編】)
新入社員が辞めたいと思う主な理由としては、多い順に「仕事が合わない(34.1%)」「上司と合わない(21.5%)」「会社や職場の風土が合わない(19.9%)」があげられています。
本調査では退職者(転職経験者)も対象として継続就業者(転職未経験者)と比較しているのですが、面白い結果が出ています。
それは、辞めたい理由の割合が転職経験者と未経験者で違うということです。
転職経験者は「上司と合わない」の割合が高いのに対し、転職未経験者は「仕事が合わない」の割合が高くなっています。
これは、仕事が合わないことを理由として転職した人が、希望の仕事に就くことができたが、上司に対しては不満を持っているということの顕れではないでしょうか。
厚生労働省による調査
厚生労働省による「平成30年若年者雇用実態調査」の結果から新入社員の転職希望理由がわかります。
(出典:厚生労働省 平成30年若年者雇用実態調査 個人調査 3.今後の職業生活)
転職希望理由の上位は次の3点です。
- 賃金の条件がよい会社にかわりたい
- 労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい
- 仕事が自分に合った会社にかわりたい
新卒離職率の高い業種・低い業種は?
またまた厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」に登場してもらいます。
この調査では業種別・人数規模によって離職率を出しているので業種選びの参考になります。
離職率の高い業種ワーストは?
「新規大卒就職者の産業分類別(大分類)就職後3年以内の離職率の推移」のうち、平成29年の離職率を見てみます。
(出典:新規大卒就職者の産業分類別(大分類)就職後3年以内の離職率の推移を基に筆者が作成)
各産業の詳細については総務省ホームページをご覧ください。
離職率の高い業種ワースト3は次の通りです。(その他を除く)
- 宿泊業、飲食サービス業 52.6%
- 生活関連サービス業、娯楽業 46.2%
- 教育、学習支援業 45.6%
逆に、離職率の低い業種ベスト3は次の通りです。
- 電気・ガス・熱供給・水道業 11.4%
- 鉱業、採石業、砂利採取業 14.0%
- 製造業 20.4%
また、本調査の対象となった企業では、人数規模が小さいほど離職率は高い傾向にあるようです。
転職先の新卒離職率の調べ方
離職率を調べればブラック企業に転職してしまうリスクを減らすことができますが、どのように調べれば良いのでしょうか。
就職四季報を見る
各社の離職率が掲載されている情報媒体としては就職四季報一択です。
残念ながら離職率を非公開(NAと書いてあります)としている企業もありますが、平均年齢や平均勤続年数を見ると離職の多い企業なのかわかります。
他にも従業員数に対して採用人数が多い場合には、若い人がたくさん辞めている可能性があります。
離職率よりも確実な情報とは?
転職先を決める上で会社の離職率を見ることは、確かに意味はあると思いますが、もっと重要な情報があります。
それは、あなたが受けようとしている求人で、配属される職場での状況です。
離職率は、あくまでも会社全体の話であって配属先の離職率が高いかどうかはわかりません。
確かに、会社全体の離職率が高ければ高いほど危険ではありますが、全体の離職率が低くても「部署による」のが結論です。
だから、あなたが入社することになる部署特定の情報を得ることが重要なのです。
では、どこからそんな情報を得れば良いのでしょう?
それは、転職エージェントです。
ただ、離職率を聞いてもおそらく特定部署のデータはないので教えてもらえないかもしれません。
なので、合わせて他の情報を聞いて総合的に判断する必要があります。
具体的には以下の通りです。
中途採用を募集する目的・理由
将来の経営計画に沿って人を補充しているなら良いですが、ただの退職者だとしたら危険です。そのため中途採用の目的や理由を確認しましょう。
部署の年齢構成
極端に若手がいないようであれば、理由を聞いてみましょう。
部署の近年の中途採用数
近年中途採用ばかりしているのに人数が増えていない場合には要注意かもしれません。ただ、部署異動も考えられるので必ずしもブラック職場かどうかは不明です。
このような情報は、ちゃんとした転職エージェントなら企業の人事担当とのパイプを持っているので確認してくれます。
ですので、あなたが利用しているのが、人事担当とのパイプをもたないエージェントなら乗り換えた方が良いです。
ちなみにエージェントによってパイプのある企業が異なるので、2〜3社登録して情報収集すると漏れなく情報収集できるはずです。
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